2018/09/28
周易法・第四節「攻出内宴」
人と会うに自分の家や事業所に相手を迎えるか、自身が相手のところに出向くか、と言う話だが、戦争をするなら自国で決戦となれば民は路頭に迷い、勝っても国内は疲弊する。対して攻めてきた方はどうなるかと言えば、勝てば新たに国を一つ得、負けても既存で持っている領土は傷む事がない。
更に際どい争いをすればするほど、守っていた相手国も疲弊する事から、負けて撤退してもすぐに相手が報復に出る可能性も低い。
それゆえ基本的に戦争に措ける本土決戦は、予めの不利、敗北の可能性、弱小劣勢の風気が在るのだが、いつも自身より弱い相手との戦争とは限らず、他国を決戦場として攻めるには、既存領土の防衛と攻める為の軍備、攻めている軍が要する糧秣の手配が必要な事から、通常は攻める相手国の2倍以上の国力が無ければ攻められない。
いつも自国が他国を攻められる状態とは限らず、多くの弱小国家は必然的に敵に攻められ、不本意ながらも本土決戦に挑まなければならない事態を迎える事になるが、この場合に必要な事は「情報」であり、先に攻めてくると言う情報を掴めば、それより先に自国が他国の周辺領土で待ち伏せ、敵軍が自国に入る前に、他国を無理やり戦場にしてしまう事ができる。
やむなく本土決戦となる場合、人口を一箇所に集めてはならない。
たった一箇所を攻撃したら殲滅できる状態は避け、場合に拠っては攻めてきている相手国の防備の方が手薄なら、本土を棄てて敵の領土を奪取し、それに慌てて兵が戻って来るところを敵国領土で迎え撃ち、適当に戦って自国に帰る、或いは相手が大国の場合、周辺主要都市の一部を攻め、そこを自国と宣言して、これに激怒して戻って来たら、それより先に逃げて本土に帰還する。
または敵の敵は味方とは限らないが、期限の限定で同盟が結べれれば、出来るだけ多くの国を戦争に巻き込めば自国敗戦の可能性は低くなり、日本のような島国では海を使う。
攻められてきたら舟で海に避難し、敵国が本土に上陸したら袋叩きにする事が出来るが、あくまでも本土に執着していると、必ず負ける。
日本の近代防衛概念である専守防衛と言う概念は、古代から戦術上最も避けなければならない戦法、敗戦法とも言え、日露戦争では先に旅順を攻め、ロシアの国家権威であるバルチック艦隊を海で撃破し、本土決戦に至らせなかったことが勝因であり、蒙古襲来の折もこれと同じだが、守りに徹した為国内は疲弊、以後北条政権は衰退していく。
このように戦争では自国を戦場としてはならない事は、市場原理でもビジネスでも同じ事が言え、人と会うにも自身が出向く事で、少なくとも時間やスケジュールをより多く自分に引き寄せる効果が得られ、これだけでも自分が有利になる。
これが「攻出」であり小さな者、弱小な者ほど、怠惰は禁物である。
ただし、宴などは自身が出向くと罠や待ち伏せの危険がある事、さらには権威による優位性の関係から自分が他者を招くほうが有利となる。
古来より戦争よりは交渉で妥結する方が金はかからず、その宴を主催する事で盟主、或いは準盟主の仮想が発生し、これが有事の際には多くの者を巻き込める環境を作る。
そもそも宴などから得られる利は無く、これに出向くなど全く時間の無駄とも言え、親睦など宴が終わった瞬間から忘れられる、ついでに自分が動かされると言う事は、力関係に措ける優劣にも繋がり易い。
出来れば宴は参加するのではなく、それを利用する立場に立つ事が望まれる。
これが「内宴」と言うものの考え方である。
ビジネスでは人を待つより自分が動け、
宴は広さ(回数)ではなく、深さだ。
戦争の代わりに開くのが宴である事を忘れるな・・・。