「天皇と臣民」



AI - Story・・・・・

会社を経営している人は理解できるかと思うが、社員は厚生年金に加入できても経営者はこれに加入できず、失業保険も労災の適用も無い。

また何かの集団、「会」などの主催者は参加者の自由平等、発言の自由などには配慮しなければならないが、自身の自由平等は「主催」している事実に拠って誰も担保する者が存在しない。

天皇と言うお立場を一般庶民である我々が理解する事は困難だが、我々が自身の範囲で理解するとしたら、まず冒頭のような事から理解するのが良いかと思う。
すなわちここでは会社を経営する者は社員に保証されている権利を享受する事は出来ず、「会の主催者」は自身の自由平等に関して、もっぱら主催するか否かの自由は選択できても、会の中での自身の自由平等を保障する者は誰もいないのである。

人権の定義は常に与えられる者の権利であり、それを与える者はこの権利を主張できない。
そもそも初めから与える者には権利が無いのであり、天皇は日本国民ではなく選挙権もなければ年金、社会保障もなく、発言の自由すらもない。

立場や状況に拠って右往左往する人権と言うものに対し、世界でも数少ない「完全な人権の外部者」なのであり、この事を戦後に改正された皇室典範などと言う、歴史の浅い成文法に拠って全て現すことは、初めから無理が有った。
天皇は初めから人の定義の中には収まらない存在なのである。

現在の天皇は統治者ではないが、日本人は何かで国家存亡の危機に立たされた時、必ず最後は天皇にすがる。
この意味では象徴天皇は日本人の心の統治者と言え、これが何を意味するかと言えば、現実社会を統治していようと、そうでは非ずしていようと同じ事と言える。

そしてこうした統治者が人として在ろうとする時、高い台の上で立つ事も出来ずに這いつくばった姿でしか存在できない。
言いたい事も言えず、天皇と言う地位はその上が無い事から地位そのものが無い事に同じで、支えている者が臣民である為、天意を「人」とするなら、臣民の意思とご自身の意思は同じで在らねばならない。

今般今上天皇のお言葉を拝し奉り、そのあまりに過酷な在り様に、思わず落涙を禁じ得ないものが有った。
私が知る範囲では、天皇が国事挨拶以外で臣民にお気持ちを発表した事例は2度しかないように思うが、八甲田山の雪中行軍の後に為されたのは明治天皇の「陳謝」であり、もう一つはポツダム宣言受諾に関する昭和天皇の「玉音放送」である。

そして臣民に天皇のお気持ちが発せられたと言う意味に限定するなら「玉音放送」が唯一のものだったが、今上天皇のお言葉は、まさに玉音放送と同等の重さを持つものではないかと思う。

また今上天皇のお言葉の中には、暗に「摂政」と言う代理を望んでおられない部分が感じられた。
我々庶民と言うものは心の賤しいもので、例えば葬儀や結婚式に家の当主ではなく代理の者が訪れた時、どこかで軽んじられたと思う事がしばしばであり、これが災害や危機に関する事になれば、更に国民に天皇のお気持ちは伝わりにくくなる。

生前退位と言うご意思の中には、摂政と言う中間統治者を置くことに拠る弊害を思われる部分が感じられ、また一向に進まぬ天皇継承権、男系以外の継承権を認めるか否かの議論に対する今上天皇の思いも感じられる。

皇室典範の改正は容易ではないが、まず生前退位のご希望を尊重し、現皇太子に皇位を継承して頂く道を臣民は急がねばならないのではないかと思う。
典範を改正せず摂政を設けたとしても、摂政はあくまでも代理であり、天皇と同じ意味を持たない。

そして現皇太子が天皇を継承した場合、皇太子を置くとすれば、皇室典範では秋篠宮が皇位継承第一位となるが、では現皇太子の姫宮のお立場はどうなるかと言う議論が必ず出て来る。
今上天皇はご自身が崩御されてからこの事で混乱する事もまた、御心配されたように思う。

お気持ちの中で、臣民に対し、おざなりになっている皇室の問題を議論する時間を、ご自身が崩御されるまでの時間をそれに充当するよう、お示しになったような気がする。

この天皇のお覚悟を、我々臣民は體(たい)すべきかも知れない・・・。

ちなみに臣民と言う表現は古いかも知れないが、「臣」は政府、「民」は我々民衆と言う意味で、これが適切と判断した為「臣民」と言う旧表現を用いた。

また體とは「体」の事だが「理解する」と言う意味より「わかる」と言った方が良いか、僅かばかり能動性の方向に意味が有り、範囲が広い為、私は好んでこの旧字体を用いた。












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