2017/10/24
特集・「2017年10月の衆議院総選挙の意義」
https://youtu.be/1hbQpjYtbps・・・・特段の理由も無く安倍総理の個人的な理由に拠って解散された国会だが、小池百合子東京都知事のある種予測された蜂起に拠って、自由民主党は一時的に窮地に立たされたものの、結局都知事が結成した「希望の党」は都知事自らの「排除」の一言、また都知事の素行に鑑みるなら「現状より危険」を感じさせるものが垣間見える事、及び「希望の党」の参加者の愚かさ具合から自滅した。
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民進党、前原代表の野党結集構想は小池知事のリベラル排除の一言で五里夢中となり、締め出された民進党衆議院議員達は「枝野幸男」に拠って、押し出された「ところてん」のようにして立ち上げられた「立憲民主党」に集結、ここに野党共闘構想は完全に分裂し、自由民主党は解散総選挙前の議席を完全に確保する大勝となった。
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加計学園問題などを巡って説明責任を逃れる安倍総理、其の横柄かつ傲慢な在り様に国民は自由民主党に代わる政権、或いは自由民主党に拮抗する勢力の台頭を望んだが、国民の希望は「希望の党」に拠って打ち砕かれた形となった。
が、果たしてこの結果が悪いと言えるかどうかは疑問である。
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太平洋戦争後、それ以前もそうだが野党や、例え拮抗している勢力が在ったとしても、与党政権の不祥事が野党の追及に拠ってこれが是正された事など一度も無い。
例え有ったとしても、それは与党政権との水面下での取引に拠って成立していたのであり、この点で言えば安倍総理に説明責任を果たさせる事が出来るのは「自由民主党」が一番効率的なのである。
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1990年代に入って出現してきた日本新党の細川護煕内閣、其の後の民主党政権に鑑みるなら、非自民党政権は自民党の不祥事以上の国家混乱を引き起こしたのであり、僅かばかりの賄賂ぐらいでは済まされない影響を国民生活に及ぼした。
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結果から言えば野党政権の誕生、その勢力の拮抗がもたらす国会や内閣の浄化作用より、自由民主党内部の派閥力学に拠って為される自浄作用の方が実例が多く、国民生活の混乱も少なかった訳である。
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1988年のリクルート事件は巨額賄賂事件だが、これが発覚する発端は野党の調査でも新聞の取材でもない、端末の自由民主党系行政幹部、川崎市助役の放漫取引から始まったものであり、その後発生する東京佐川事件などは、「竹下登」総理誕生に絡んで田中角栄との仲介を頼んだ暴力団関係者の金銭事情の困窮に拠って発覚した。
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自由民主党と言えど全ての人間が賢い訳では無く、端末へ行くに従っていい加減な事も増え、それが元で大事件が発覚、或いは派閥抗争は対野党ぐらいではない熾烈さが有り、こうした現実が野党の追及や野党政権より遥かに高い自浄作用を示す訳である。
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またバブル経済崩壊に拠って方向性を失った日本社会は試行期間を迎え、ここではあらゆる可能性が躊躇なく試される社会傾向を生み、これが1993年の細川護煕内閣誕生に繋がり、やがて民主党政権にも繋がったが、これらの試行が失敗だった事を経験した日本国民は、やがて拮抗すれども政権は非自民党に取らせない状態になって行く。
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この中で自由民主党は質的に節操を失って行くのだが、この原因は非自民政権の誕生に有り、例を言えば、それまで戦国時代の日本では日本人同士の内部抗争だったが江戸時代末期には黒船が来航し、こうした外の敵に対しては内部での小競り合いが控えられて事に当たる為、派閥力学が低下して行った経緯が在る。
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つまり共通の敵の前では小さな敵は味方にならざるを得ない事になり、ここに自由民主党の危機は何としても防がねばならない状態が発生し、内部で多少人間性のないことが出てきても、それまでは許されなかったことが許されるようになって行き、その端末に安倍政権に代表されるような、言葉を蔑ろにする事の許容が蔓延して行った。
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自由民主党の自浄作用は、短期間で幾度も発生した野党政権に対するトラウマから、派閥力学が低下して起こっているものであり、基本的に日本の政党政治には一貫した思想性など無く、それが在るように見えたとしても、選挙に当選する為の姿に過ぎなかった。
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この意味では自由民主党の派閥も、野党と言うものの存在も大した差異は無く、政権与党には政権与党の派閥、大きくなった組織ゆえに発生する端末処理の不備、人材の劣化から来る情報管理の難しさ、と言った要素で不正や問題が陽の下に晒されるケースの方が、野党の追及より実質大きな効果を発揮する。
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大躍進とされた立憲民主党だが、枝野代表が民主党政権下でやってきた言葉に対する冒涜は、安倍政権の師範クラスと言える在り様のものであり、やり方は小池百合子都知事と何ら変わるものではなかった。
50議席前後の最大野党など、1990年頃までの自由民主党、その弱小派閥程度のものでしかない。
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今般「希望の党」の自滅、奇しくも投票日直前に日本を急襲した台風の有り様に鑑みるなら、私流に言うなら「天意」、別に言い方をするなら時代と言うもの、歴史と言うものの恐ろしさを感じざるを得ないものがあり、ひとえに「日本の萎縮」を思わざるを得ない。
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豊かな時は優雅な暮らしが送れても、貧しくなってしまうと生活レベルは徐々に過去方向へと移行し、この時センスや感覚、システムなどは進化していても、現実は過去方向の現実へと帰って行く。
少子高齢化に拠る人口減少、経済の衰退、商品化して行く女性など、これらの現実は日本を過去へと押し戻していて、その結果が今回の自由民主党の圧勝と言う結果を生んだと言えるのではないだろうか。
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単独過半数を維持した自由民主党、その一方で政権与党で在る公明党は議席を減らした。
この事は必ず自由民主党に驕りをもたらし、そこから協力関係に必ずヒビが入り、当選2回のお粗末若手議員が80名以上も残った上で安倍一強は容認された形と成った現実は、やがて色々な問題が自由民主党の愚かな部分から露呈され、一強に対する反発は必定、ここに派閥力学の復活がおとずれるのは間違いないだろう。
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1990年までの政権与党が持つ自然自浄作用形態が復活してくる。
経済の沈降から報道の自由を放棄した日本のマスコミュニケーション、東芝の粉飾、三菱のデータ改ざん、日産の検査不正、神戸製鋼のデータ改ざんなどは、本来であればその会社は社会に対して全ての信を失って倒産すべき在り様ながら、国民生活を盾に取って民衆は責任追及を行わない。
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無関心とも言える在り様で民衆が政府のみを追求するのは、いささか虫が良すぎる。
野党のみが正義を実現出来るのでは無く、正義は不正義の中にも存在し、人間のコミュニケーションは「利害関係の一致」と「対立」のみであり、外に敵がいなければ内から敵が現れる。
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今回の衆議院選挙結果を見ていて、私は少なくとも自由民主党安倍政権に対する追求が、野党から自由民主党内部に移行した事を、野党勝利よりは大きく評価したい・・・。
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