クレムリン物語り

メンデレーエフの元素周期表、この表の中の元素が全て国内に存在している国がある。

かつては社会主義に基づく軍事力で周辺諸国に圧力を加え、そして今は石油埋蔵量世界第2位、天然ガスでは世界第1位と言う、豊かなエネルギーによって周辺地域に圧力を加え続ける国ロシア、しかしどうもこの国はその民族性か、大振りなところがあり、原油価格の高騰で労せずして入ってくるオイルマネーに溺れ、経済対策が全く無策となっている。

そのためモスクワでは大停電が発生し、EU諸国や周辺の独立国家共同体(CIS)では、エネルギー安定供給国としてのロシアに疑惑の視線を向けているが、代替エネルギーの開発や、ロシアを通過しないルートでのエネルギー確保を模索している周辺諸国を尻目に、ロシアの態度は相変わらず横柄なままである。

また2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、暫く続いたアメリカとの蜜月時代も、2003年3月から始まったアメリカ・イギリスによるイラクへの武力攻撃と共に、一挙に対立関係へと転じていったが、当時ロシアは国連安全保障会議の決議を得ないで行われる軍事行為に対し、激しくブッシュ政権に抗議した。

そして経済の活況から起こるロシア国民のプーチン大統領人気、これに気を良くしたのかどうかは不明だが、その後プーチン政権はどんどん権威主義的傾向を強め、ホドルコフスキー・ユコス社長の逮捕事件、ベスラン人質事件後の中央集権化、ウクライナ大統領選挙への遠慮の無い干渉など、ステップを踏んで統制、弾圧政策へとひた走っていく。

さらに「自由と民主主義の拡大」をうたった2期目のブッシュ大統領は、こうしたソビエト時代へ逆行するかのような、ロシア・プーチン政権を激しく非難するようになったが、2006年5月10日、アメリカ副大統領、ディック・チェイニーが行ったロシア非難はその典型的なものだった。

しかし他方ブッシュ政権は反テロ闘争、エネルギー供給問題、イラン、北朝鮮問題ではどうしてもロシアの協力が必要であったことから、こうしたロシア非難もどこと無く業務的な印象が拭い去れず、結果としてロシア・プーチン政権の権威主義的傾向はそのまま増長し、大統領をメドベージェフに譲ってもなお、プーチンは院政を引いたかのように影響力を保持し続けているのである。

またこれは余り日本で知られていないかも知れないが、プーチン政権は欧米諸国やイスラエルがテロ組織だとみなしている、「ハマス」の最高幹部をモスクワに招待している。

2006年1月、パレスチナ最大のイスラム原理主義組織である「ハマス」が、パレスチナ評議会選挙で過半数の議席を獲得、第1党となったが、ハマスはイスラエルの生存権を認めず、パレスチナ、イスラエルの2国家共存を前提とした中東和平案すら反対しているにも拘らず、プーチン政権は2006年3月3日~5日にかけて、ハマスの政治部門責任者であるマシャアルをモスクワに招待し、会談を行っている。

こうしたプーチン政権に対して、当時の国際社会は、厳しい目を向けたことは事実だが、ハマスは民主的な選挙の結果を経て選ばれた組織であること、ハマスを孤立させるよりは彼らと対話することが重要だ、としてこうした国際的な不信をかわしたプーチン政権、2006年4月16日にはロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がハマス主導のパレスチナ自治政府議長に対して、1000万ドルの緊急財政支援を行う意向を発表するのである。

こうした経緯から、ロシアはアメリカやヨーロッパのように、イスラム原理主義イコール「悪」と言う概念ではないことが分かるが、その根底に沈むものは中東でのロシアの重要性を高めたいとするもくろみと、できれば中東でパレスチナ問題が長引けば、相対的にロシアの石油に対する、世界需要の高まりが期待できることにあるようにも考えられる。

そしてロシアの憂鬱だが、実はロシアが今直面している一番大きな問題が人口問題、それもロシアの人口は激減してきているのである。
2007年ロシアの人口は1億4280万人で世界第7位だったが、これが2009年には1億4190万人、世界第9位に落ち込んでいる。

年間ベースで最大70万人の人口減少があり、このペースで推移するなら50年後のロシアの人口は1億1100万人、ちなみに日本の50年後の予測人口は1億2740万人となっていることから、こうした予測人口では、日本の方がロシアの人口を上回ることになるが、そもそも日本の予測人口が1億2740万人と言う根拠は極めて疑問な点があり、各国が自国の都合で出したデータは当てにならないものだとするなら、そうした傾向を割り引いて考えると、ロシアの人口減少は数字以上に深刻なものがあるように思われる。

ちなみにロシアでは、2006年から移民政策を強化し、移民の受け入れに努めていると共に、母親となる女性には第1子に毎月1500ルーブル、第2子には同じく3000ルーブルを現金で支給する政策が取られているが、そうした政策の効果は今のところはっきりとは現われていない。

さてロシアだが、最後にロシアの電話事情の話をしておこうか・・・。
ロシア・ノーボスチ通信社の発表によると、ロシアの携帯電話契約件数が国民1人に1台の割合、すなわち1億4280万件を超えたのは、2006年のことだったと言う。

正確には2006年7月に契約件数が1億4307万件になり、これで携帯電話の浸透率は103%になったが、このときのロシアの携帯電話契約件数の伸びは、1カ月で280万件と言う勢いだったのである。

1980年代、旧ソビエト時代には欧米で普通だった電話の「内線」と言う概念が無く、地方の上級官職の机の上には沢山の電話が並び、また電話番号も必要な人間以外教える必要は無いと言うのが当たり前、当然あるべき電話帳もなかった時代からすると、何ともその感慨は深い・・・。






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