2009/02/15
日本の夜明け前
私が知っている小沢一郎と言う人物は、少なくとも権力の権化、傲慢と言う印象しかないが、ここ数年民主党になってからと言うもの、かなり情緒的な感じも出てきて、それらしくなってきたな、と言うのが率直な感想だろうか。宮沢喜一内閣発足時、自分よりはるかに先輩の宮沢氏に挨拶に来させ、笑っている小沢一郎よりは今の彼のほうが好きだが、クリントン国務長官との会談を1度は断ってみるなど、相変わらずお茶目な面も残っている。
その昔農林水産大臣のとき、アメリカで交渉が進捗せず、どうにもならなくなった小沢は交渉を蹴って帰国したことがあったが、私の知る限りアメリカやヨーロッパとの交渉で途中帰国した大臣は小沢が始めてだった。
いよいよアメリカやヨーロッパに対等な物言いが出来る男が現れたか・・・と思ったものだ。
しかし1991年から次々に発覚してきた共和事件(斡旋収賄)佐川急便事件(贈賄事件)、金丸信巨額脱税事件などにより、政界と闇の関係、政界とゼネコンなどの癒着疑惑が起こり、竹下登元総理、金丸信元自民党幹事長、と相次いでその後ろ盾を失い、当時最も総理に近い男だった小沢の神話はもろくも崩れ去り、再起は不可能とまで言われていた。
だが小沢は新党結成に参加、新生党のナンバー2の位置に君臨するが、集合散開する新政党を渡り歩き、ついにまた民主党党首にまで復帰した。
つくづくしぶとい男だ・・・、これは田中角栄元総理の言葉だが、代議士や大臣までは努力すればなれる、しかし総理は運命だ・・・、あの人間ブルドーザー、田中角栄をしてこう言わしめる総理の椅子、現在その椅子に座る麻生太郎総理は、もはや国民の信頼を完全に失い、強力に郵政民営化を推し進め、自民党を大勝させた小泉純一郎元首相にまで、「あの郵政民営化には反対だった」と言って激怒させた。
すかさずまた後になって「あれは反対だったと言った」と思われたくないからとした上で、小泉元首相は2兆円のばら撒きを衆議院の強行採決「3分の2採決」を使ってまで通すほどの議案か・・・と発言し、これに自民党内部は混乱、陰のフィクサーを気取る森嘉郎元総理に至っては記者団に八つ当たりし、「どけ、邪魔だ、ぶっ壊すぞ」と思わず日頃の率直な素行を見せてしまう一幕もあった。
何もしないうちに自分から穴を掘ってくれる麻生総理は、本当は民主党党員なのでは・・・と喜ぶ民主党幹部達、しかし地方遊説に回っている小沢の目は醒めている。
「そんなことは大したことにはならない」
総理の椅子が眼前で崩れ去っていった経験を持つ小沢らしい見方である。
アメリカは厳しい・・・、オバマの政策はそれほどの効果は期待できない、と言うより6700兆円にも及ぶ世界的な隠れ負債が、総額70兆や80兆の金でどうにかなると思う方がどうかしている。
クリントン国務長官がアジア外交の第1番目に日本を選んだのは「取り合えず」でしかない、中国や韓国、インドなどでは日本の何十倍も時間をかけて交渉に及ぶだろうし、ロシアとは少し対立した状態の均衡安定を目指すだろう。
日本に望むことは「金を出せ」くらいしかないが、日本に駐留するアメリカ軍基地の維持費用概算で1兆円は毎年全額日本負担、ついでにアメリカ軍のグアムへの基地移転費用7000億円も日本が負担することになっている現状はとても対等な軍事同盟ではない。
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1987年、日本はアメリカ軍のお陰で軍事防衛費用を最低限に済ませ、それで経済的発展をしてきた、日本に応分の負担をさせようとしたアメリカの要求「バートン・シェアリング」は全く根拠が無かったがアメリカ議会で決議され、それで今日の全額負担になっているのだが、既に東西冷戦もなくなり、中国も民主化が進んできた。
もしアメリカが無理を言うなら日本は中国、ロシアとそれぞれに平和、共同軍事同盟を結ぶ道があることをアメリカに知らせるそぶりを見せないといけない。 何もそうするのではなく、交渉の道具として使うのだ。
ついでにイランとの平和条約交渉、相互経済援助条約の締結をモーションとして起こし、こちらからもアメリカをけん制し、これらを使って日本に駐留するアメリカ軍の日本防衛と言う大儀名文を薄め、アメリカ軍に関する費用を現在の3分の1に抑える。
また北朝鮮を巡る6カ国協議は北朝鮮の出方によっては交渉から離脱するといいだろう、そして北朝鮮からの攻撃に備えて日本海側にミサイル迎撃システムを集め、ピョンヤンへもミサイルの射程を向けておけばいい。
何も撃つ必要はないが、敵対していても事態が安定していることが重要で、そのうちキムジョンイルが病没するのを待っていればいいのであり、拉致被害者の件はこう言う方法でも取らない限り進展はしない。
そしてここまでしないとアメリカは日本の覚悟が分からない、いつまでも何とかなると思ってしまっているのだ。
兵は詭道だ・・・使わなくていいが交渉に使うのだ。
日本はもう変わらないといけない、政府も国民の意識もだ、小沢一郎は結局クリントン国務長官に会うことになったが、少なくとも地方遊説で忙しくてアメリカの国務長官に会えない・・・と1度は言ってみるあり方を私は好ましいと思う。
私はアメリカ民主党、ビルクリントン大統領のときのジャパンバッシングを忘れてはいない、同じ民主党のクリントンの妻には非常に警戒している。
麻生総理はもはやどうでもいいが、小沢が今回示した態度はクリントン国務長官に少なからずプレッシャーを与えただろう、こうした姿勢がある限り将来小沢一郎は日本の虎の子になるだろうし、アメリカが歴代総理の中で最も恐れる総理となるだろう。
ただし、以前あった党首辞任劇のような気弱さが正体なら、この夢もついえることになるが・・・。
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