第二章・5「意義」

「暴動の秩序と言うのは目的が有るか無いかと言う事です」
「目的有るか?」

「簡単に言えば中国が少し前の状態を維持したいのか、それとも民衆が先に変化を求めているのかと言う事です」
「なるほど、そう言う意味あるか」
「暴動が暴動で終わるか否かは目的が有るか無いかで決まります」

「目的はどうやってつければ良い有るか」
「手本が必要かも知れません」
「もっと分かり易く言えば希望と言っても良い」
「希望?」
「そうです、石原中将は満州国と言う独立国家で手本を示し、それを元にアジア全体を引っ張ろうと考えていました」

「中国の暴動、先が無い」
「中国の暴動、先生の言うように先に目的が無い、だったら、目的を付ければ良いあるな・・・」
「そのとおりです」
「でも、中国の人民長く共産党に支配受けていて、逆らう勇気ない・・・」
「徐さん、あなたはその先の希望を探しに来たのですね」

「暴動が希望有るか・・・」
「希望にするか絶望にするかはその民族次第かもしれません」
「先生、有り難うある、私、今は答えが出せないが、きっと希望見つけるある」
「その時は私と中国人民助けてくれる有るか」
「私が中国の人を助けるなど、そんな力は有りません」
「ですが、できる限りの事をさせて頂きましょう」
「先生、有り難うある、有り難うある」

徐は何度も何度も久世山に頭を下げて帰って行った。

「徐さん、深い悲しみが希望に変わって行きましたね、希望って、それを思ったときから始まるのかもしれませんね・・・」

帰りしな、緑子は孫嶺威と徐黄王を見送りながら、孫の意識に語りかけていた。

「緑子さん、有り難う・・・」
「私達はどうやら道をみつけました・・・」

孫嶺威は後姿にありながら、緑子に深々とおじぎをしていた・・・。

「なるほど、そう言う訳だったのですか・・・・」
事の次第を久世山から聞いた緒長と吉田は深いため息をついたが、緒長にしてみればそれと沖縄独立の関係が今ひとつ解らない。
納得行かない顔をしている緒長に、久世山は言葉を重ねた。

「例えば中国が崩壊すると日本も韓国も唯では済まない」
「経済的な面もそうだが、中国には数え切れないほどの核兵器が有り、よしんば中国は何とか自国で管理出来たとしても、北朝鮮にある14発ほどの核兵器はどうなるだろうか」
「中国から物資が入って来なくなった場合、体制が崩壊する時、最も危険なのが日本になる」

「じゃが日本が何かしようとしても反日ではどうしようもなく、黙っていると被害は受ける」
「この場合、間接的に中国を助ける為に日本は自国をちぎって、このちぎった部分が動いてアジアの調整役を行うと言う方法がある」
「それが沖縄と言う事ですか・・・」
「そうじゃ、沖縄なら独立すれば中国も韓国も受け入れ易い、また日本からの独立によって中国の暴動に道を付ける事が出来るかも知れない」

「徐さんの話だと暴動は共産党と言う蓋に押されて道を失っている」
「ここに沖縄の独立と言う事実が現れれば、暴動は沖縄と言う漠然とした目標を持つようになる」
「中国はもしかしたら4つか5つくらいの大まかな民族的独立国家を形成し、これらが集まって新生中国と言う形になるかも知れん」
「少なくとも徐さんの頭にはその考えが有るような気がする」
「沖縄が起爆剤になると言う事ですね」

「そうじゃ、唯黙っていたらアジア全体がどうにもならなくなるとしたら、それを沖縄の独立によって何とか和らげる事が出来るとしたら、沖縄の独立は単に日本から冷遇されて仕方なくでは無く、アジアの明日を見据えたアジアの中心としての意義を持つのではないか」

「アジア全体が混乱していて沖縄だけが無事では済まない」
「アジア全体の利益がまた沖縄の利益で有るとしたら、ここはアジア全体の利益を考えた行動が良いのではないかな・・・」
「確かに、そのとおりです・・・」
「でも私に、この沖縄にそれが出来るんでしょうか・・・」
「出来るかどうかではなく、やらなければ明日を失うなら、やるしかないのではないか・・・」

にわかには信じられない話で緒長と吉田は昼前まで久世山と話し込んでいたが、この後中国崩壊が事実なのかどうか、また久世山の話を聞いて、徐がどのような考えを持っているのか確かめるべく、翌々日の午後、緒長は吉田を伴って中国上海に飛ぶ。
那覇から上海までの距離は812km、那覇から東京までの距離が1560kmほどだから、那覇空港から東京へ向かう、およそ半分の時間で到着する距離に沖縄と上海は位置している。

国家と言う思想は現実の距離を近付けもするが、遠ざけもする・・






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