2009/02/26
金縛りを科学する・第2章
人は何なぜ眠るのだろう、疲れたから?それはどこが・・・体だったら横になるだけでも良いのではないか、目が疲れる・・・それだったら目を閉じていれば良いだけでは・・・では脳が休む為?・・・。
実は人や生物がなぜ眠るのかは本当は分かっていない、恐らく脳が休む為だろう・・・と言うのは推測に過ぎない。
金縛りは起きて活動している時にかかる人は少ない、いやいないだろう、大体眠ろうとするその瞬間か、目覚めてまた眠ろうとした時かの、どちらかの状態でないと起こらない。
この事から金縛りは眠る直前のタイミングに問題があるとも考えられるのだが、では「眠る」と言う状態と起きている状態の境界線はどこかと言うと、この境界は波で訪れている、意識がある状態とそれが薄れる状態が交互にやってきて。ついに意識が無くなる状態が支配する、つまり眠りに就くのだが、金縛りに会う人の場合はこの最後の眠りの波が来たときに緊張状態になる。
人間の脳は眠りから醒める時間をどこで決めているのかは分かっていないが、眠りから醒める状態はどうも人体や脳にとって相当危険な状態、重大なことらしく、眠りから醒める時間を最も短くしようと言う操作が行われている。
この場合目覚めようとしている意識を早く覚醒させる為に一番効果があるのは「恐怖」であり、そのためにこうして目覚める前の夢は怖い夢が多くなるのだが、これには個人差があって、脳が怖い夢を使っていつも覚醒させている傾向の人は、常に目覚める時怖い夢を見るし、そうでない人は怖い夢など見ない。
どちらかと言うと寝つきの悪い人ほど睡眠が浅く、それなら特に怖い夢など使わなくても早く覚醒しそうだが、逆にこうした人ほど脳は怖い夢を使って覚醒させる。
金縛りに会う人は眠る直前、さあ眠ろうとしているとき、眠りの逆流を起こしている・・・これはどう言うことかと言うと、ネジ山の潰れたネジみたいなもので、どこかで引っかかって、脳が覚醒するのか眠るのか一瞬判断できなくなる状態を起こし、1度こうした逆流を起こすとずっとそのままネジが歪んで回ってしまう、つまりくせになってしまうのだ。
そのため覚醒するとき使われる「恐怖」が眠りに落ちる瞬間に使われている状態になっている。
金縛りの基本が「恐怖」であるのはこのためだと思われるが、うたた寝の状態も眠りと覚醒の中間点にあるため怖い夢になりやすい。
ムカデの恐怖から金縛りにかかるようになった女性、彼女は毎晩こうした怖い気配に怯えながら、一晩に何度も金縛りに会ったが、やがてこんなことが毎日続くようになってから、金縛りに会いながらその最中にいろんなことを考えるようになっていった。
「なぜあの女性は部屋へ入ってこないのだろう・・・いや本当は姿など始めから無かった、そこにあるのは気配で、私は気配を見ていた」
彼女は金縛りに会いながらも周囲を細部にわたって観察し始め、本当はいないのになぜこんなに恐ろしいのか、自分が見ているものは何なのか考え始めるが、この頃になるとその顔が潰れた女性の気配は日増しに薄くなっていくのがわかった。
だがそれで恐怖が無くなったかといえばそうではなく、部屋にいながら部屋も見渡せれば、外の景色も見渡すことができ、月が出ているのも見えた・・・しかし早く何とかしなければと言う焦りと恐怖は以前と何も変わらなかった。
そんなある晩、既に高校生になっていた彼女は眠りに就こうと布団で横になったが、どうも自分の耳元で自分以外のもう1つの呼吸音が聞こえてくる気がして体を起こした・・・だが当然のことながら部屋には自分しかいない、仕方なくまた横になるのだが、そうするとまた耳元・・・と言うか今度は自分と重なって4センチほどずれたようなところから、呼吸音が聞こえてきたのだった。
「誰かが私と全く同じ位置で重なっている・・・」彼女は自分の呼吸を止めたが、その呼吸は自分の口から4、5センチずれたところ、自分の頬の辺りから聞こえてきていたのだ。
通常なら耐えられない恐怖に違いない、が彼女はこれまでに余りにも多くの恐怖に毎晩襲われていて、少し慣れが出てきていたのだろう、こうしたことがあっても、また金縛りになっても、寝る姿勢を変えて無理やり眠るようになってきていたのである。
彼女は少しずつ気づき始めていた。毎晩金縛りに襲われて眠れなければ、そのまま起きていればいい、そうすると体に限界が来て2,3日後には金縛りに会っても眠れる・・・、こうした方法は体を衰弱させることには違いなかったが、同時に恐怖も紛らわせる効果があることも分かってきていた。
しかし、この現象では彼女は金縛りの状態ではなかった、目を覚ました状態で自分以外の呼吸音を聞いたのだ。
彼女はこの呼吸音に関して面白いことを言っている・・・これは私の呼吸音だ・・・と言うのである。
自分が呼吸を止めていてその呼吸音を聞いているのに、それが自分の呼吸とはどういうことだろう、彼女はその理由は説明できないが、「私と私の体がずれているからそうなったんだ」と言うのである。
なるほど・・・人間の脳は絶えず自分の位置を把握していなければ、体がどこかにぶつかってしまうし、自分の容積や体積もおおよそ把握しておかなければ、通れる幅さえ分からない、渡れる板も分からないだろう、また全ての物からの距離を知っていなければ、自身の位置がどこにあるかも分からなくなる。
脳は体の位置を常に瞬時に把握しながら体を動かしているのだ、それが金縛りで混乱することが多くなった彼女の場合、寝た状態だと数センチずれた位置で体を把握するようになった可能性は高く、基本的には音も脳が聞かせていることから、その呼吸音は脳が把握している体に基づいて、ずれた位置だった可能性は高い。
だがもしそうだとしても、それをそうだと思っている自分もまた脳ではないのか、だとしたら脳とは、自分とは・・・何なのだろう。
この答えになるかどうかは分からないが、もう1つの事例、福助人形の男性のその後を見てみよう。
この男性も毎晩福助人形が歩いてくる金縛りにさいなまされたが、彼も中学3年生になった頃はそれにも慣れ、次第に何故自分があの福助人形を見つけることができたのか考えるようになっていた。
そこで思ったのは2階の押入れ以外のところで自分が知らないところがあったか・・・と言うことだったが、勿論他にも収納はあり、そこでも確認できていない場所はあったが、唯一何か怪しいとすればその2階の押入れだったことに気づいていく。
つまり彼は最も確率の高い場所を探して、それを見つけたに過ぎないのではないか、と思うようになっていったのである。
だがこの男性もそうだが、次第に女性の例と同じように自分の体の位置と、自分にずれが出てきていることを金縛りから感じ始めていた。
男性がやはり高校3年生になったとき、彼の場合もそうだが、夜寝ようとして仰向けになり、このままだと金縛りに会うからと体勢を横向けにしようとしたところ、なぜかとても軽くすっと横になることができた・・・が何かおかしいと感じた男性が振り返って見たものは、仰向けの自分だったのである。
彼は自分でありながら自分の体の全体像を見た、鏡を使わずに直接自分の顔を見たのだ。
そしてこのとき男性が感じた感覚は「まずい・早く戻らなければ大変なことになる」だった、皮を剥がれたような、服を脱いだような感覚で少し寒いのだが、男性は仰向けに重なりもとに戻った。
以後この男性が金縛りになると、こうして体から自分が離れる感覚に変わっていくのだが、この頃から男性は身内に死者が出ると特殊な匂いがするようになる。
大体1週間前くらいからその匂いは始まり、それもかなり強い匂いらしく、普段は鼻が悪くて納豆の匂いでさえ分からない男性が、この匂いだけは強烈に感じ、粉っぽくて、草が萌えるような匂い・・・そしてそれが1週間ほど続き、近い遠い関係なく自分の関係者や親戚が死ぬと言うのだ。
どうもこの男性の匂いと言うのは家族もその実力を知っているらしく、これ以外にもこの男性は誰もいないところで人の声を聞いたり、廊下を走る音を聞いたりと言うことが多いらしい話をしていた。
そしてこうした話をするから、幽霊とか神様とかは信じているのかと思えば、前出の女性同様、神も仏も信じていないし、幽霊すらどうですかね・・・と言う話なのだ。
これ以外にも金縛り経験者の中には、雨の音が人の話し声に聞こえる、見えないけど気配を感じる、物や人からぼんやりした光が出ているのが見える・・・と言う人や人の姿が見えると言う人までいる。
ムカデの恐怖から金縛りが始まった女性、
彼女は結婚して子供が生まれたが、それでも金縛りは続いていた・・・そしてこの頃になると彼女は仰向けに寝て目を開けたまま、違う場所の景色を見ることができるようになっていたし、金縛りになるのもそれを終わらせることも、自分の意思でできるようになっていた・・・。
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